笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~



突然過ぎる佐々木くんからの告白に、私の頭はついて行かない。

「ごめんな。
今、こんなことを言っても、陽泉を困惑させるだけだって分かってる。
でも、どうしても今、伝えたかった」
「……………」
「……………」

「…時間も時間だし、ちょっと寒くなってきたから帰ろう」
佐々木くんはベンチから立つと、私の手を引いて車へと戻る。
駐車場の自販機で、温かいカフェオレを買って渡してくれた。

帰りの車は、お互いにずっと無言だった。
ただ、カーラジオから私の好きなミスチルの曲が流れていた。

約束通り、家まで送ってくれた彼。
「ごめん、本当に遅くなってしまったな」
「ううん、大丈夫だよ」
「付き合ってくれて、ありがとうな」
「いいえ。こっちこそありがとう。ドライブ、楽しかったよ」
「そっか。
なぁ陽泉。どんな形でも、お互いにバスケを続けていれば、いつか、また会える。
俺は、そう信じている」
そう言って、まっすぐ私を見つめる彼。

「うん、そうだね。私もそう思うよ」
私は彼が好きだと言ってくれた、とびきりの笑顔で答える。

すると彼は、
「じゃあな、陽泉。
次に会える時まで…」
そう言って車を出発させる。
私は見えなくなるまで、その車を見送った。



  ―第3章·完―


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