笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「吉田さん!拓海!
お願いがあります」
そんな私たちを呼び止めたのは佐々木くん。

「今から10分だけ、陽泉を貸してもらえませんか?2人だけで、話したいことがあるんです!」
続けてそう言うと、私を見つめた。

祐介は時間を確認すると、
「…分かりました。
ヒナ、先に戻っているから」
そう言って拓海と歩き出した。

佐々木くんは隣の女性に
「ごめん梢。
俺、彼女と話しをしてから戻るから」
そう言うと、私を促して歩き出す。
私は隣の女性にお辞儀をすると、佐々木くんについて歩き出した。

佐々木くんはペットボトルのお茶を2本買うと、会場の外に出た。そして、その1本を私に渡してくれる。
「ありがとう」
私は早速キャップを開けると半分くらい飲んだ。
思いがけない再会に、やはり、かなり緊張していたらしい。喉が、渇いていた。

「陽泉。俺、信じていたよ。
拓海が必ず、この全国大会に陽泉を連れてくるって。この会場で、絶対に陽泉に会えるって」
「…佐々木くん?」
「言っただろう。お互いにバスケを続けていたら、また会えるって…」
「…うん」
「…俺の中で、陽泉への気持ちはまだ変わっていない」
「……………」


< 193 / 250 >

この作品をシェア

pagetop