笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「…俺の方の事情で、ハッキリと言うことは出来ないけど。…この大会が終わるときには、ちゃんと伝えられるようにするから。陽泉の答えを考えておいて欲しい」
「……………」
「…俺の話はそれだけ」
「……………」
「……………」
「…分かった。
私もちゃんと考えて答えを出すよ。…祐介とのこととか、全部を含めて、ちゃんと考えるから」
「ありがとう。
じゃあ、そろそろ10分たつから戻るか」
「うん」
そうして私たちは会場に入り、それぞれのチームに戻った。

チームのベンチには麻生先生もいて、ユニホームを着た15人のメンバーは開会式に出る準備に入っていた。
そして、時間がきて各都道府県の代表チームが整列し、開会式が始まった。

開会式のあとは、オープニングゲームがある。男女ともに昨年の優勝チームが出場するにあたり、その試合を見ようとギャラリー席はいっぱいだ。
もちろん、麻生先生の指示の下、うちのチームも富士中の試合を見学することになった。

試合前、アップの指導をする佐々木くんを見つめる。
ボール出しをする彼。
指示を出す彼。
先程の告白が、現実に思えない。
何気に、隣の祐介を見る。
ずっと私の隣にいてくれた祐介。私の中に、別な人がいるのを知りつつも、いつも支えてくれていた。
私は、どうしたらいいのだろう…?





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