笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「3年前のあの時…。
ヒナは俺を選んでくれた。でも、俺を想ってくれているのと同じくらい、彼のことも想っている。それには気づいていた」
「……………」
「…だから今度は、ちゃんと考えて答えを出せ。たぶん…、これが最後の選択だから」
「……………」
「…俺にとって一番大事なことは、ヒナの幸せだから。
ヒナの笑顔が、大好きだから。
ヒナがいつも、笑っていられる場所を、しっかり選んでほしい」
「……………」

どこまでも優しい祐介。
この3年間、私は祐介の隣にいられて、祐介に大切に想われて、すごく幸せだった。
"彼"の存在がなければ、私にとっての一番の幸せは、一生、祐介の隣で笑っていられることだったのだろう。
でも、もうすぐそれも叶わなくなる。

いつまでも、祐介の優しさに甘えているわけにはいかない。

ちゃんと考えて、答えを出して、それを私の口から祐介と"彼"に伝えなくちゃならない。

だけど、
その前に…

「ねぇ祐介。
まずは明日の試合、絶対に勝とうね!」
「ん?あぁ、そうだな。
この大会、拓海たちに優勝してもらおうな」
「うん」
「じゃあ、俺は部屋に戻るよ。
明日もお願いします、陽泉コーチ」
「分かりました、吉田先生。
おやすみなさい」
「あぁ。
おやすみ、ヒナ」

そうして祐介は、自分の部屋へ戻っていった。




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