笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「俺たちからしたら羨ましいけど、佐々木からしたらホントに迷惑そうだから助けてやろうぜ」
戸田くんの言葉に小野くんと平山くんが頷いた。
私は紗英ちゃんと顔を見合わせた。

「…しょうがないか。
大丈夫だよね、陽泉?」
そう紗英ちゃんに言われたら、私は頷くしかなくて…
研修期間中、私たちは支社のメンバーで行動を共にすることになった。
しかし…、それが面白くない女子もいて。
毎回、ランチや休憩時間に佐々木くんを誘いに来て断られる女子から、私と紗英ちゃんは毎回睨まれていた。

「陽泉、トイレ行こう」
「陽泉ちゃん、ちょっとこれ教えてくれる?」
紗英ちゃんや小野くんたちは、佐々木くんの周りに女子が集まっている間、私に声をかけてくれて
そんな女子たちからの視線が気にならないようにしてくれた。

それでも気が休まるのは、紗英ちゃんと一緒にホテルの部屋にいる時くらいだった。

「佐々木くん、すごいモテるんだね」
独り言のように言った私の呟きに、

「まぁ、あのルックスだし、代表挨拶したから、近い将来は本社での幹部候補だし。
今から狙ってる女子がいてもおかしくはないけどね」
紗英ちゃんはちゃんと答えてくれた。
そして、
「大変だけど研修の間だけだし、私がずっと一緒にいるから大丈夫だよ」
笑顔で言ってくれる紗英ちゃんの存在が、とても嬉しかった。

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