笑顔の行方～バスケットが繋いだ恋～

「富士中のコーチなんだけど…」
祐介が先程の話しの続きを始める。
「…佐々木稜さんが、やっています」

「……………」
「……………」
「……………」
「…姉ちゃん、マジ？」
みんなの思いを郁海が口に出した。

「…うん、そうみたい。富士中コーチのネームプレートを付けていたし、昨日の試合でも、ベンチに入っていたよ。本人もそう言っていたし」
「そっか。手強いな」
「うん。…でも、なんとか拓海たちを優勝させてあげたいな」
「…そうだな」

ふと話しが終わり、それぞれに飲み物を飲んだ。
そして、沈黙を破ったのは紗枝ちゃん。
「あのさ。吉田さんがいる前でなんだけど、陽泉は佐々木くんと会ってどうだったの？」
「えっ…？」
「話し、したんでしょう？」
「うん」
「で、どうだった？
どんな話しをしたの？」
紗枝ちゃんは矢継ぎ早に聞いてきる。私はチラッと祐介を見た。
その視線の意味が分かるのだろう、
「あー。俺のことなら気にするな。それに、俺は昨日のうちに話しを聞いたし…」
祐介はそう言った。

「うん。
ちょっとだけ、佐々木くんと2人で話しをしたんだけど、久しぶりだから緊張した。
内容は…、まぁ、みんなが思ってるようなこと？
あー。でも佐々木くん、お付き合いしてる人がいるみたいだけど」