笑顔の行方～バスケットが繋いだ恋～

「…はぁ？」
「佐々木くんに彼女？」
「ちょ…待てヒナ。昨日はそんなこと、言ってなかったよな」
みんなが驚いたようで、一斉に話しだした。

「あー、うん。
今日の試合のあと、話しをしたの。佐々木くんの彼女さんと。
昨日、佐々木くんの隣に女の人がいたでしょ？その人だよ。
私、小3のときに一緒のクラスだったんだ」
私が説明すると、
「ねぇ陽泉。
佐々木くんが"彼女がいる"って言ったわけじゃないのね？その女の人が、"佐々木くんと付き合ってる"って言ったのね？」
念を押すように聞いてくるのは紗枝ちゃん。
私は少し考えてから、
「うん。佐々木くんからは聞いてない。梢ちゃん、あっ…、その彼女が言ってたの」
そう答えた。

すると、公園の外が、ちょっとガヤガヤとし始めた。
男性同士が言い争うような声が聞こえる。

「…いゃあ、良かったな梢！」
「あのっ、悟さん。俺は結婚する気はありませんから！」
「なんだ、梢のどこがダメなんだ？」
「いや、だから…」
「はっきりしろ、稜！」

「「えっ、稜？」」
みんなの声が重なった。

すると、公園の外からも「なんだぁ、誰かいるのかぁ？」と声がすると共に、数人が公園に入ってくる。

「あれっ？田村さんに愛美さんに、青山さんに郁海も？
みんな、拓海の応援？」
と言うのは佐々木くんの声。