笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

「ねぇ、ちょっと!
どうして稜くんが陽泉ちゃんを送って行くのよ?
事実を言われたからって、あんなわざとらしく、しゃがみ込むことないのに!」

ヒナと佐々木さんが出て行った方向を見つめながら、そう悪態をつく片桐梢。
反対に田村さんは落ち着いて、梢のお兄さんに話しかけている。

「すみません、片桐さん。えっと、お兄さんの方です。
どうして稜と妹さんが"結婚"と言う話しになったのか教えていただけませんか?」

丁寧に話しかける田村さんに、片桐悟さんも、分かりやすく説明してくれた。
「ちょっと長くなりますが、いいですか?」
と、前置きをしてから。


☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

「俺が稜に連絡をとったのは、今から3年前です。知り合いから中学のバスケのコーチを頼まれて、俺1人では不安があったので、稜も誘いました。最初は稜も断っていました。就職をしたばかりだから、仕方ないと諦めていたんですが、2ヶ月を過ぎたときにOKの返事がきました。
そして、その時は東京だったので、すぐに東京に来てくれました」

そこでお茶を飲み、一息つく悟さん。
聞いている俺たちも、それぞれの飲み物を飲んで気持ちを落ち着かせた。

悟さんの話しは、まだまだ続きそうだ。



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