笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~


しかし、稜と陽泉さんが再会したのを、梢が良く思っていないのも事実です。
だから梢は私には、『富士中が優勝したら、稜くんと結婚するの』と言ってきたんだと思います。俺はそれを信じて、現在に至ります」

そうして悟さんの話は終わった。





☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

長い沈黙の後、田村さんが悟さんに聞いた。
「妹さんと、結婚する意思があるのか、稜には確認しなかったのですか?」
俺たちみんなが気になっていたことだ。

「はい、確認はしませんでした。
梢と付き合っているうちに、本当に稜も梢のことを好きになったんだと思いました。3年前の稜の話も、忘れていました」
「……………」
「いくら妹がかわいいからって、稜や陽泉さん、そしてみなさんに迷惑をかけてしまいました。
すみませんでした」
そう言って悟さんは頭を下げた。
そんな悟さんに、田村さんが確認する。

「じゃあ、稜と妹さんの結婚の話は、白紙でいいですね?」
「はい」
「2人の付き合いについても、ちゃんと稜の意見を聞いてください」
「分かりました」
「それともちろん、妹さんが言っていたような賭けもなしです。
お互いに決勝まで勝ち上がって、正々堂々とバスケの勝負をしましょう!
なっ、吉田くん」


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