笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「そんな陽泉だけど、社会に出て、ここにいる紗枝ちゃんや佐々木くんに出会って、信頼出来る人が増えて、それと同時に笑顔が増えた」
「……………」
「…私は、笑顔の陽泉が好きだから、いつも笑っていて欲しい」
「……………」

愛美さんの後について紗枝ちゃんも言う。

「陽泉にとって梢さんは、大切な友達なんだと思います。梢さんの気持ちは分かりませんが…。
その梢さんのためなら、陽泉は佐々木くんのことを諦めます。自分の思いを殺して…」
「……………」
「…私は、陽泉の友達として、彼女の"運命の恋"を諦めてほしくない。
佐々木くんの同期として、彼の想いを叶えてほしい。
そして、大好きな陽泉と佐々木くんの恋を応援したい
そう思っています」

愛美さんや紗枝ちゃんの思いを黙って聞いていた梢は、俯いたまま、
「…お兄ちゃん、もう帰ろう」
と、悟さんに声をかけて歩き出した。
悟さんは俺たちにお辞儀をして、梢の後をついて歩き出した。

「…彼女に伝わったかな?私たちの思い…」
紗枝ちゃんが呟くと、
「…ねぇ紗枝ちゃん。私たちも信じよう。陽泉が友達だと、信じた人なんだから…」
愛美さんが言う。
「…分かりました。そうですよね」
紗枝ちゃんが答えて、俺たちはゆっくりと歩き出した。

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