笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
そこへ、
「祐介さん、姉ちゃん。何したらいい?」
拓海がやってきた。そして、俺の存在に気付き、
「あれっ?稜さん?」
と、驚く。

「おっ、拓海か!身長伸びたな!」
俺は拓海の頭をポンポンとした。昔は叩きやすい位置にあった拓海の頭だが、3年会わない間に、かなり身長が伸びた。

「あっ…、いや。
稜さん、どうしてここに…?」
戸惑う拓海は、俺のネームプレートに気付いたようだ。
「えっ?富士中?」
「そう。俺、今、富士中の外部コーチをしてるんだ。
決勝では拓海たちと戦いたいから、それまでは絶対に負けるなよ!」
「分かりました!
もちろん稜さんがコーチのチームにも、負けませんから!」
力強く宣言するキャプテンが頼もしい。
そう!
うちのチームのベスメンを、正々堂々と負かしてほしい!

それから少し、陽泉と吉田さんの会話を聞いて、2人が付き合っていることを実感する。
そして、そのまま吉田さん·拓海と一緒にチームに戻ろうとする陽泉を呼び止めた。

「吉田さん!拓海!
お願いがあります。
今から10分だけ、陽泉を貸してもらえませんか?2人だけで、話したいことがあるんです!」

吉田さんは時間を確認すると、陽泉に声をかけて拓海と歩き出した。
俺は陽泉を促して歩き出す。陽泉は黙ってついて来た。

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