笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  バスケットが繋いだ恋

最終結果は61対60で、念願の全国優勝である。

「「ありがとうございました」」
整列し、挨拶をする10人の選手たち。
互いに握手をし、健闘を讃え合う。
麻生先生が控えの選手にベンチの片付けを指示する。そこに、片桐さんと佐々木くんがやってきた。
「お疲れ様でした。
素晴らしい試合をさせていただき、ありがとうございます。あの子たちにも、いい経験になったと思います」
片桐さんが麻生先生に言うと、
「いやいや、こちらこそありがとうございました。一時はどれだく離されるのか不安になりましたが、良かったです」
麻生先生はそう答える。
「あー。
うちもあのまま行けると思ったんですがね。
でも、思いきったポジションチェンジでしたね。まさかセンターがガードをやるとは思わないから驚きましたよ」
「そうですね。
そこは、うちの若手2人の力です」
麻生先生はそう言って私と祐介を見た。
私は祐介を見ると、
「吉田先生のおかげですよ。練習中、寛貴が普通にレイアップを決めるのを見て、"ゴール下でパスを待つだけなんて、もったいないよな"って呟いてたから。
寛貴は小学校からずっとセンターだから、ボール運びをさせると言う発想はなかったんだけど、逆の意味でいいかもって思い、ちょっとだけガードの練習をさせました。
それが、この大一番で役に立って良かったです」


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