笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
佐々木くんの運転する車は、ETCゲートをくぐりインターを降りた。
そして、駅に向かって行く。

私は裕介に
『いまインター降りた』と、メールを送った。

佐々木くんには、駅前の駐車場に入って貰った。
そこには、裕介の車が停まっている。
佐々木くんの車が停まると、
「ありがとうございました」と挨拶をして助手席から降りた。
後部席から荷物を取り出すと、
「ヒナ、持つよ」
と、裕介が受け取ってくれた。
そして裕介は、佐々木くんに向き直る。

「ヒナを送ってくれて、ありがとうございました」

佐々木くんも裕介を見て答える。

「…いえ、どうせ同じ方向だったので。
陽泉。また月曜日、会社でな」

「うん。
佐々木くん、ホントにありがとうね」

私もそう挨拶をして、裕介と一緒に佐々木くんの車を見送った。

その後、裕介の車の助手席に乗り、自宅まで送ってもらう。
車の中で、裕介も私も何も話さない。
約10分。
沈黙に耐えきれなくなったころ、私の家に着いた。

「ありがとう。上がってく?」
「…いや、いいよ。
ヒナ、疲れてるだろう?今日はゆっくり休めよ」
「分かった。おやすみ」

私はそう言って、家に入ろうとした。
すると、裕介に腕を引かれて抱き寄せられる。

そして、顎を掴まれ上を向かされると、裕介が近づいてきて…
私が目を閉じると、唇に柔らかい感触がした。

私の、
ファーストキスだった…



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