笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
『ヒナ、どうして電話に出ない?』

『ヒナ、何してる?
会いたいんだけど』

電話に出ない私を心配してのメールだ。

『ゴメン。
拓海の練習に付き合っていた。
今から帰るところ。
後で電話するね』

簡単にメールを返した。

「姉ちゃん!
母さんが帰りに卵を買ってきてくれだって。
あと、俺たちがいないから、父さんと2人で食べてきたから、夕食好きなものを買ってきなさいだってさ」

母さんとの電話を終えた郁海が、その内容を伝えてくれた。

「…夕食、コンビニでいい?」

恥ずかしすぎる母からの電話の内容に、小声で郁海と拓海に聞いた。

「うん。
姉ちゃん、デザートも買ってね」と拓海。

「俺はガッツリ肉とチューハイ2本!」と郁海。

「…分かった。
あとで母さんからお金もらうから」
そう言って、郁海の車のドアを開ける。

「…陽泉。
また明日、会社でな!
まぁその前に、これからコンビニで会うかも知れないけど。
俺も今日の夕食は、コンビニで買うから」

佐々木くんが笑いながら言うのが聞こえた。
私は聞こえないフリをして、郁海の車に乗り込んだ。

「コンビニ、いつものところでいいんだろう?」
運転しながら郁海が問いかける。

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