笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「なぁヒナ」
食べ終わると、裕介が話しかけてきた。
真剣に、真っ直ぐに私を見つめて…

「なぁに?」
私も姿勢を正して、真っ直ぐに裕介を見つめ返した。
…多分、これから彼が言うだろう話しの内容は、予想がついている。

「あのさ…、そろそろ俺 たち、ちゃんと付き合わないか?」
少しの間のあと、裕介が話し出した。

「"彼氏のフリ"を申し出たのは、本当に困っているヒナを助けたかったから。
でもヒナの側にいるうちに、ヒナのことが好きになって…。
今までは、ヒナの1番側に居られるだけでいいと思っていたけど、ヒナは今度は社会人で離れて…そう考えたらヒナに触れたいって思った。そしてこの前、キスしちゃったんだけど。
俺、本気だから。
本気でヒナのことが好きだから。
だから、俺と付き合ってください!」

熱く自分の想いを語った裕介は、最後に私に頭を下げた。
私はその光景を見つめたまま固まる。

裕介の話しは、私が予想していたものだった。

好きだと思っている人から、同じように"好き"だと告げられて、嬉しいはじなのに、なぜか戸惑いの方が大きくて…
裕介に、どう応えていいか分からない。

それを察した裕介が、
「ヒナごめん。
いきなり過ぎて、ビックリしたよな」
優しく声をかける。


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