笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
3人は、そっと前の部屋を覗いて、残りの私たちを手招きする。

紗英ちゃんが私の手を取り、「陽泉。ちょっとだけだから行こう」と誘ってくる。
紗英ちゃんは、興味があるみたいだ。

「佐々木くんも行くよね?」
紗英ちゃんは、佐々木くんも誘う。

佐々木くんはため息をつきながら部屋を出た。
その後ろを紗英ちゃんが、紗英ちゃんに手を引かれて、仕方なく私も続いた。

だけど、私はすぐに後悔ることになる。
カラオケボックスの前の部屋にいたカップルは、私の知っている人たちだったから…



☆ ★ ☆ ★ ☆ ★


「ねぇ裕介くん。
もっと、いつもみたいにして。もっと触れて。
…私、彼女の代わりでもかまわないから…」

女の子にこう迫られて、戸惑いながらも彼女のキスを受け入れたのは…

「…裕介?」

私の囁きが聞こえたのだろう。
「えっ?陽泉?…」
「…陽泉ちゃん?」
みんなが焦る中、私は扉を開けた。

私を見て驚いた顔の裕介と、勝ち誇ったように私を見る女の子がいた。

…何も言わない、何も言えない私と裕介の代わりに喋り出したのは、彼と一緒にいた女の子。

「裕介くんの彼女さん。
私、裕介くんのことが好きです。
だから、さっきのことは悪いと思いませんし、謝りませんから!」

いきなり宣言されてしまった。



< 57 / 250 >

この作品をシェア

pagetop