笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「どうした陽泉?」
心配そうに私を見る彼。

「…いや、…あの…。
昨日はごめんなさい…。
それで…、私が誘った…から、私が払うよ」
彼の手を掴んだまま、俯いて言う。

「いや…、いいよ。
止めることだって出来たのに、陽泉と一緒にここに入ることを選んだのは俺だし…。
「…いや、でも…」
「ホントにいいから!」
「……………」
「……………」
「……………」
「…じゃあさ。
ここは俺が出すから、陽泉はモーニング奢って」
「…えっ?」
「…陽泉も朝ごはん、まだだろ?
近くに友達がやっているカフェがあるから、そこでモーニング食べよう!
…電話して、頼んでおくよ」

佐々木くんは、すぐにケータイでどこかに電話をかけた。

「もしもし。
…あっ、俺だけど。
あと20分くらいで着くから、モーニングを2セット頼む!
………
えっ?
あぁ、そう。
じゃあヨロシク!」

そうして電話を切ると私の手を掴み、
「よし、行こう!」
そのまま部屋を出た。

そして、
「少し歩くけど、大丈夫だよね?」
そのまま私の手を引いて歩き始めた。

まだ朝の7時前。
土曜日のこんな時間に、男の人と手を繋いで、こんな場所(トコロ)を、こんな風に歩くなんて…
周りから見たら、やっぱり"朝帰り"に思うのだろうか…



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