笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
ゆっくり紅茶を飲んでいると、
「そういえば自己紹介がまだでしたね」と、話しかけられた。
そしてそのまま、
「私は稜の中学からの友人で矢澤啓太(ヤザワ ケイタ)と言います。
このカフェは、私の5つ上の兄が店長兼オーナーをしていて、私も手伝っています。
メインはランチで、夜はお酒も出しています。
私が朝から3時まで、兄がランチから夜まで出ています。
良かったら、ランチや夜にも来てください」
と、挨拶をされた。

それに対して私も、
「えっ…と。
佐々木くんの同僚の小野陽泉です。
パンケーキと紅茶、とても美味しかったです。
ぜひ今度、ランチにも来てみます」と返した。

そんな私と佐々木くんを交互に見て、
「…ふ~ん。
稜がこの店に彼女を連れてくるなんて、初めてじゃない」
なんて言う啓太さん。

「いや。…陽泉は彼女じゃないよ」
即答する佐々木くん。
私も頷く。

ビックリしているのは啓太さん。
「えっ…?そうなの?
稜の彼女じゃないの?
…わざわざ電話で"パンケーキ2人分頼む"なんて言うし、こんな早い時間に2人きりだし…。
てっきり稜が彼女を連れて来たんだと思ったよ」

…そっか。
そんな風に思われるんだ。
啓太さんは口に出さないけど、時間が時間だし、朝帰りだってバレているんだろうな。

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