笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  2人の契約

佐々木くんの部屋は1DKで、綺麗に片付いていた。
余計なものがない、シンプルな部屋だ。
裕介の部屋は、いつも雑誌などが散らかっているから、余計にそう感じるのかも知れない。

「ごめん。
適当に座ってて」
そう言われて、テーブルの前の2つあるうちの座布団の1つに座る。

佐々木くんは着替えてくると、私の正面に座る。
そして、
「昨日のことだけど…、身体、辛くないか?」

最初に出た言葉は、私を気遣うものだった。

「あー、うん。
…大丈夫、だよ」
私は笑顔で返す。

「そっか。
なら良かった。
それよりさ。…これから、裕介くんとはどうするの?」
「……………」
「…彼、確実にあの子と関係があったよね?」
「……………」
「…しかも、陽泉とちゃんと付き合う前からみたいじゃん」
「……………」
「それでも、裕介くんのそばにいるの?」
「……………」
「……………」
「…裕介とは。
後でちゃんと話すよ」
私は俯いたまま答える。

考えたくないけど。
裕介とは、今までの距離でいられない。
だからと言って、どうすればいいのか分からない。
裕介が、どうしたいのかも分からない。
私じゃなくあの子を選ぶのか、
あの子と別れて、私のそばにいてくれるのか。



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