笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
"ちゃんと話す"と言いながら、それが出来るかさえも分からない。

優柔不断な私。
それを知っている裕介。
…完全に私、裕介に流されてしまいそうだ。

「そっか。
裕介くんとどうなったか、ちゃんと俺にも報告しろよ」
佐々木くんは当然のようにそう言ってくる。

「えっ…、どうして?」
私は聞き返す。

「なに?
昨日、約束したこと、もう忘れたの?」
佐々木くんはニヤリとしながら私を見る。
そして、
「ヤッてる最中にさ、"俺たち、身体の相性いいみたいだな。お前が良ければ、またこうして会おう"って言ったら、お前、"いいよ"って答えたよね。
…俺と愛し合うことに夢中で、話しの内容なんて分からずに返事した?」

彼の言葉に青くなった顔が、すぐに真っ赤になった。

…夢中だったけど、ちゃんと覚えてる。
分かったうえで頷いたから。
どんな形でも、佐々木くんと会いたいから。
2人だけで会いたいから。
「…忘れてないよ。
ちゃんと覚えてる。
佐々木くんが言ったことも、ちゃんと理解して返事をしたよ」
気持ちを落ち着かせ、まっすぐに佐々木くんも見て答えた。

「…そう、…なのか」
私のその答えに、ビックリしたような彼。

私は微笑んで、もう1度頷いた。
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