笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
その後、佐々木くんの部屋でシャワーを浴びて、身支度を整えてから自宅へと帰った。

家に着くと父さんは仕事、母さんと拓海はバスケの大会で、郁海しかいなかった。

「姉ちゃんおかえり。
いきなり朝帰りなんて、社会人はやることが違いますねぇ」
郁海はそう言ってからかってくる。

「そうそう…。
裕介さんから電話があったよ。姉ちゃんのケータイに繋がらないって…。ケータイどうしたの?」
妙にイタいところもついてくる。

「…うん。
充電切れちゃって。充電器もないし、酔って早く寝ちゃったし。
…連絡してみるよ、ありがとう」
私はそう言って、自分の部屋へと逃げた。

でもすぐに、郁海が追いかけてくる。
「姉ちゃん、拓海の試合見に行かない?今日は12時から試合だって」
「ごめん。今日は疲れたから家に残るよ。
郁海は行って来なよ。
母さんに、夕飯は作っておくって伝えて。…ちなみに、昨日の夕飯は何だった?」
「んーと、昨日は鶏の照り焼き。
今日は久々、姉ちゃんの中華が食べたい気分。
ヨロシク。
んじゃ、行ってきます。あっ!明日は準決と決勝だから一緒に行こう!」
郁海はそう言って出掛けて行った。

…もしかして、私のことを待っていたのかも知れない。
"悪いことをしたな"と思ったのは、夕飯の買い物に出掛けたときだった。


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