笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「…陽泉ちゃんに、受け取ってもらえて良かったよ。
ねっ、愛美」

私なんかに、ニコニコと話してくれる日高さん。
愛美先輩と田村さんも笑顔で、
「陽泉がブーケを取りに来ないときは、どうしようかと思ったよ」
「うん。
でも、ちゃんと陽泉に渡せて良かった…」
そう言ってくれた。

「陽泉ちゃんの彼氏さんも良かったね。
愛美も、田村さんも、陽泉ちゃんのことが心配みたいだから、ちゃんといつも、陽泉ちゃんが笑顔でいられるようにしてあげてね」
何を勘違いしたのか、日高さんが佐々木くんに話しかける。

すると、わたしが否定するよりも先に、
「本当だよ。
稜くん。陽泉のこと、お願いね」
愛美先輩が答えると、

「はい!
陽泉を泣かせるようなことはしません。
陽泉が、愛美さんから受け取った、そのブーケに誓います!」
佐々木くんも言う。

私の前を歩いている郁海は、肩を震わせるて笑いをこらえている。

私は、"佐々木くんが彼氏ではない"と否定するタイミングを完全に失ってしまった。
また佐々木くんがそれを認めるような発言をしたため、否定するのも失礼だと思った。

どうすることも出来ず、愛美先輩から受け取ったかわいらしいブーケを持ったまま、佐々木くんの隣を歩くしかなかった。


< 93 / 250 >

この作品をシェア

pagetop