未完成な私たち
曖昧なふたり
彼氏がいるか問われることが私にとってどれだけ困るものか、誰も知らない。こちらもハッキリするのが面倒だから笑って誤魔化せば、不毛な恋でもしているのかと問われる始末。そんな倫理に反することを、真面目だけが取り柄の私にできるとでも思っているのだろうか。
彼氏は、いない。ただ、彼氏っぽい人がいるだけ。月に何度か二人でご飯に行く、それだけの関係。
そもそも彼、三浦聡(そう)さんと出会ったのはナンパだった。会社近くのイベントホールがなにやら賑わってた日、突然声をかけられたと思ったら自分の連絡先の書いた紙を渡された。家に帰り冷静に考えたが、結局好奇心が勝り連絡してしまった。ナンパなんてされたことなかったし。それから、こんな関係が出来上がった。ナンパされたときは暗くて顔はよくわからなかったが、初めてご飯に行ったときあまりの美形で驚いたのを鮮明に覚えている。
初めに仕事や趣味の話をした。私はOLで三浦さんは自営業。あまり仕事の話はしたがらなかったので、私も深くは聞かないでいた。