未完成な私たち
三浦さんと連絡が取れなくなってから、今まで自分から連絡したことがなかったことにそして、こんなに三浦さんを大切に思っていたことにようやく気づいた。ご飯を食べるだけの薄い関係なんて思っていたけど、私の心の大部分には、もう三浦さんが住み着いていた。
やがて仕事にも影響が出始めた。公私混同なんて社会人失格だと思っていたけど、自分のこととなるとそう思えなくなってしまった。彼に何かあったのか不安でご飯も食べれなくて、寝てる間に電話があるかもなんて思ったら深く眠ることもできなくなっていた。
ある日、会社の同期が見かねてイベントに誘ってくれた。彼女は大の声優好きである。「たまたま余っただけよ」なんて言っていたけど、不器用な優しさだってわかっているから素直に「ありがとう」と答えておいた。