未完成な私たち
「今回のイベントは私の一番好きな声優がいるの!その人は声だけじゃなくて顔もいいからファン多いのよ!!」
お目当ての人がいるらしく合コン並みに意気込んでる同期。そんな彼女を見てると微笑ましくなった。好きな人のために素直に動くなんてしなかったから。本当に自分の気持ちに気づいていなかったのだろうか。もしかしたら気づいた上で現状に胡座かいていただけなのかもしれない。
会場に着き、指定の席に座る。端っこではあるがかなり前方である。キャストの顔もはっきり見えるくらいの距離だ。トークショーがメインらしく、アニメを知らない私でも楽しめるよと言われた。
いよいよ始まった。歓声こそないものの、静かな熱気に包まれている。
主要キャストが何人か登場した後、スクリーンには私がずっと探していた彼の姿がうつった。