未完成な私たち


「三浦さん…」

私がつぶやいた言葉に同期が反応する。

「さゆちゃん、三浦さんのこと知ってるの?」

答えられずにいると、彼の自己紹介が始まった。

「鈴木一弥役の三浦聡(みうらさとし)です!みなさん、楽しんでいってくださいね〜!!」

やっぱり三浦さんだ。聡って書いてさとしって読ませてるのか。数ヶ月ぶりの三浦さんを放心状態で眺めていると、三浦さんと目が合った。

あちらも気づいたようで、明らかに動揺している。もしかしたら私と会いたくなかったのかもしれないと思ったら、涙が頬を伝っていた。

座っていることもいたたまれなくなって、同期に誘ってくれた感謝の言葉と先に帰ることを伝えて席を立った。


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