未完成な私たち
どこをどう帰ってきたのかわからない。会場を出てからの記憶が全くない。気づいたらアパートの前に着いていた。
「さゆ!」
苦しそうな声で自分の名前を呼ばれた。振り返れば、そこには今にも泣きそうな三浦さんがいた。
「よかった、何にもなくて安心した…」
そう言われながら三浦さんに抱きしめられた。
「ごめん、泣かせてごめん」謝られながらギューギューと抱きしめられる。まるでもう二度と離さないと言うかのように。
「なんで三浦さんがいるんですか…?お仕事は…?」
「あれからもう三時間も経ってるぞ。とっくに終わってる。それに、さゆが泣いてるのを見てから動揺しまくって、先輩達に飲みはいいから早く彼女のところに行けって言われた」