残業しないで帰りたい!
青山さんはかなり無理をしている様子だったけれど、それでも彼女と離れたくなくて、無理をしていると知りながらも食事に連れて行ってしまった。
身勝手だとわかっているのに止められない自分に驚き嫌気が差す。
そんな自分を軽蔑しつつ腕組みをして待っていたら、着替えて更衣室から出てきた私服姿の青山さんは、より一層若さが際立っていた。
あー、若さが眩しい……。
俺みたいなオッサンが若い彼女を連れて歩いていいものか、一瞬戸惑った。
でも、彼女と離れたくないという気持ちはそんな後ろめたさを吹き飛ばすくらい強くて、周りからどう見られようと関係ない、そんなのどうでもいいと思えた。
もう全て、なりふり構わなくなっていた。
無計画に食事に誘った俺は、初めての食事だというのに何の芸もなくファミレスなんて連れて行ってしまったし。
青山さんの格好からそうしようと思ったのもあるけれど、なぜか無性にオムライスを食べたくなって、もう駅前のファミレスしか思い浮かばなかったんだ。
ファミレスに入ってしばらくは緊張していた彼女も、話すうちにだんだん緊張が解けてきて、それからはかなり普通に話せたと思う。
なにより、一度俺の誘いを断った理由が「男の人と二人で食事に行ったことがなかったから」なんて……。
もしかして、君は男を知らないの?
本当に?
そんなの、胸が疼くよ。
気が狂いそうだ。
君は奥手なの?ちょっと臆病なのかな?
だから今まで男を寄せ付けなかったの?それでも俺が誘った食事には来てくれたんだね?
嬉しくすぎて調子に乗った。
緊張した面持ちで目の前にちょこんと座っている彼女は可愛くて、困ったように俺を見つめて揺れる茶色い瞳に胸がキュンと痺れて、デザートのページを見て見ぬフリをしたところもたまらなくて、夢中になって時を忘れた。