残業しないで帰りたい!
最近、週末は彼女と一緒に過ごしている。
彼女は最初、家に来てもキョロキョロオドオドして固まっていたけれど、今はすっかり慣れて俺の家を自由に勝手に使っている。
そんな彼女の姿を見ているだけで可愛いなあ、なんて思う俺は本当に単純だ。
実は最初の頃、彼女の若さが眩しすぎて、密かにかなり年の差を気にしていた。
でも、今は全く気にしていない。
彼女と一緒に過ごしていても年の差は感じないし、考えてみたら十歳くらいの年の差なんてよくあることだし。
何より人を好きになるのに年齢なんて関係ない。
彼女と過ごす時間は穏やかで楽しくて幸せで、同じ空気を共有できて、やっぱり彼女以外は考えられないと実感している。
気になることを強いてあげるなら、彼女の茶色い瞳だろうか。あの灰みがかった透明な瞳は、どういうわけか短命を連想させる。
その不安だけはどうしても心の隅にこびりついて拭いきれない。
だから、時々願掛けのように彼女に言う。
俺の方が年上だから早く死んでしまうよって。
そう言葉にしたら催眠術みたいに香奈ちゃんに作用して、俺より先に死ぬことはないって無意識に思い込んで、彼女の運命も変わるんじゃないか、なんてバカなことを考えて。
そんなこと、できるわけがないけど。
彼女の短命が確定しているわけでもないし。
本当は、俺は彼女をひたすら長々と独占したいだけだ。
つくづく俺って独占欲の強い単純バカだと思う。ホント、どうしようもない。
香奈ちゃん、こんな俺といつまで一緒にいてくれる?
毎週末、腕の中で眠る彼女の小さな寝息を聞きながら思う。
こんな強烈な幸せ、俺だけのものだ。
誰にも渡さない。
絶対に手放さない。
俺はずっとこうしていたい。
いつまでもずっと。