残業しないで帰りたい!

我が社では、管理職試験を受けるためには上司の推薦が必要だ。

私も中嶋も、ずいぶん前から課長試験を受ける資格があるはずなのに、なかなか受けられないでいる。

なぜなら、上司が男ばっかり優先して推薦するから!

当然悔しい。私より年下のできもしないヤツに先を越されるなんて、腸が煮えくり返る!

「だって久保田ちゃん、結婚して辞めちゃうかもしれないでしょー?」

辞めねーよ!このボケ!
セクハラって言うんだ、そういうのっ!

辞める辞めないより、結婚できるのかどうかってことの方が気になる事項なんだけど。

女独身35歳。
もはやアラサーでもない。

別に常に悩んでるわけじゃないけど、ふとした瞬間に考えてしまう。

美容室で普段あまり読まない雑誌なんかを見ていると、35歳以上を高齢出産とかいって特集している記事を目にすることがある。

やっぱり女として子どもを産みたいって気持ちはある。でも、年齢的に厳しい所に差しかかっているということなんだろうか。

その事実に密かに傷つく。
焦る気持ちが湧いてくる。

でも、仕事はこのまま続けたい。

こういう仕事はほんの少し休んだだけで情報から取り残されて、あっという間に浦島太郎になってしまう。3ヶ月も産休なんて取ってたら、置いてけぼりにされるだろう。

今まで結婚を意識したことがなかったわけじゃない。でも、踏み出せなかったのはやっぱり仕事をしたかったからだと思う。

仕事を辞めて、主婦になってじっと家にいるなんて生活、想像できないし、私には無理だ。

それに、別に人生かけて仕事をしてるわけじゃないけど、これまで積み重ねてきた実績を捨てたくないし、今保っている仕事の質も落としたくない。

結婚したい、子どもを産みたい。でも、仕事は続けたい。
それってわがままなんだろうか。
< 58 / 259 >

この作品をシェア

pagetop