さくら


「しーちゃん・・・・・あの・・・・・」

口を開きかけた桜子の後頭部を志信が撫でる。


「妹だと思ってた」


桜子が志信のシャツをきゅっと掴む。
その先に志信が何を言うのか、桜子には想像もつかない。




「お前のこと、妹やと思い込んでた」



撫でる手がどんどん優しくなる。



「ほんまは違うのに」



志信のシャツを掴む手に力が入り、胸に額を強く押し付ける。


「ほんまは妹なんかやなかった」


桜子がギュッと目を瞑る。



「桜子のことが好きや」



思わず桜子が顔を上げた。
志信の真っ直ぐな視線にぶつかる。


「桜子はオレのことお兄ちゃんとしか思われへんか?」




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