さくら


昨夜からお化粧もおとさず、髪も乱れたままなのを思い出して、志信の胸に顔を押し付けて無言の拒否の意思を伝える。

「しょうがないヤツやな」

志信が桜子の脇の下に手を入れて自分から引き剥がし、抱き上げて合わせた目を細めて、胡座をかいた膝の上に乗せて横抱きにした。

驚いた桜子があげようとした声は全て志信の唇に呑み込まれる。

愛しい気持ちが伝わるように

桜子は自分だけのものだと主張するように

幾度も啄まれ、そして柔らかく、だんだん長く押し付けられる。

「しーちゃ・・・・・」

漸く志信のキスから解放されて、桜子が口を開こうとすると首筋を人差し指でつつかれた。

「・・・・・どんな訳があってこんなもんつけられた?」

「こんなもんって・・・・・?」
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