さくら
「キスマーク」
志信が不機嫌に言い放つ。
「え・・・・・?キス・・・・・!?朝倉さんが『志信に嫌がらせ』って・・・・・」
桜子が真っ赤になって慌てて手で隠した。
「・・・・・・・・・・しょうもないヤツやな」
志信が片手で桜子の髪をかきあげ、抑える手をもう片方の手で掴み首筋に顔を近付けて吸い上げた。
「しーちゃんーーーー!?」
「上書きしてやった。ムカつく」
拗ねたような口調で言う割に、桜子を腕の中に閉じ込めた志信はどこか楽しげだ。
桜子の「妹」という枷を外して、甘く変化していく志信。
もう兄だからと恋心を抑えなくてもいいんだ。
好きだと口に出してもいいんだ。
桜子の胸がいっぱいになり、想いが溢れ出すようにまた涙がこぼれる。
「桜子、顔がえらいことになってるで」
志信が笑う。
「しっ・・・・・しーちゃんのせいやもん!」
慌てて顔を両手で隠すと、抱かれる腕に一層力が込められた。