さくら
「・・・・・いっぱい話したいです。ママのこと、真野先生が知らないママとわたしのこと」
「そう・・・・・やな。話そう、きみが知らない未散のことを・・・・・」
そこから2人の関係を始めて、少しずつ信頼関係を築いていけたらええねーーーそう言う真野の言葉に桜子は自然にコクンと首を縦にふることができた。
足音を忍ばせて桜子が聡志の部屋へ入る。枕元のライトだけが部屋を仄暗く照らし、頬の肉が落ちた聡志の顔が浮かびあがらせる。
細くなってしまった手首の内側に指を当てて、そこに拍動を感じて安堵の息を吐いた。
「・・・・・桜ちゃん」
力なく瞼を開けた聡志が呼ぶ。桜子がベッドの傍の椅子に座った。
「先生、辛かったらしーちゃんを呼んで痛み止めしてもらいますか?」
「いらん、いらん。大丈夫や。心配せんかてええ」
本当は辛いだろうに桜子を気遣う聡志が哀しい。
「遅くなってごめんな・・・・・もうちょっと早く真野に会わせたげたら良かったな・・・・・」
桜子が首を横にふる。
「徐々に・・・・・ゆっくりでええし、アイツを父親にしたってな・・・・・」