さくら


「引き取られた先で虐待されていたらしいんや。学校もほとんど行かせて貰えずに家事をさせられて、見かねた近所の人が行政に言うてくれたって話や」

藤子が言葉を失くす。

「ほんでなんでウチに連絡がきたん?」

聡志が志信にボロボロの封筒を差し出した。受け取って中の手紙を出す。横から藤子も覗き込む。


『さくらこへ

さくらことママはこのよで2りきりのかぞくです。ママはいっしょうけんめいながいきして、できるだけさくらことながくくらしていこうとおもってます。

でも、もしかしてママがはやくしんでしまったらさくらこはひとりきりです。ママはそれがとてもこわいです。そうなってしまったとき、さくらこがどうしても、どうしてもつらくてがまんできなくなったらママなだいすきなひとたちのれんらくさきをかいておきます。
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