さくら
「わかった。じゃちょっと行ってくる」
お弁当を包み直して、病室を出る。
ナースステーションで志信がどこにいるか聞こうとした。
「チビ?」
後ろから声をかけられ、その懐かしい呼び名に振り返ると、大学時代に同じラグビー部でよく自宅にも遊びに来ていた志信の同級生だ。遊びに来るたび、自分にも年の離れた妹がいると桜子を可愛いがって遊んでくれた。
「やっぱりおチビだ。久しぶりやなあ。志信に会いにきたの?」
「はい。ご無沙汰してます。しーちゃ・・・・・兄はどこにいますか?」
兄と呼ぶのが少し面映ゆい。
「多分部屋にいると思うよ。おいで」
朝倉さん・・・・・だったかな?桜子は後をついて行く。
「おチビいくつになったの?」
「高校1年生です」