さくら


「しーちゃん、どうしたの?」

「アホ!母さんが心配してる。てっきりオレと一緒やと思ってたって」

「ごめんなさい。コーヒーが飲みたくて・・・・・すぐ戻る」

藤子の病室の方へ足を向ける。

「桜子」

志信が桜子の腕を掴んだ。

「しーちゃん?」

「お前、母さんと貴子おばさんの話し聞いた?」

「・・・・・・・・・・部屋の外で少しだけ」

「母さんが桜子が聞いてたらどうしようって動揺してた。大体何言ってたかは想像つくけどーーー大丈夫か?」

桜子が微笑する。

「大丈夫。全然気にしてない。藤子お母さんには聞いてたこと言わないで。わたしなら慣れてるし」

志信が真顔になって桜子の腕を掴む手に力をこめる。

「桜子、理不尽に虐げられることに慣れるな」
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