さくら


「しーちゃん・・・・・嘘に決まってるでしょ。シュークリームのクリームが鼻についたから拭いてもらってただけやし」

「紛らわしいことすんなっ!」

ぶすっとした志信が桜子の渡した紅茶を飲む。

「しーちゃんも朝倉さんにいただいたシュークリーム食べる?」

「食う」

「白衣を着てないってことは志信も今日はもう帰れるのか?」

「ああ、母さんのことをオヤジに相談しようと思って」
志信がベッドに腰を降ろしてシュークリームを食べる。

あまり良くないことを知っているのだろう、朝倉も何も言わない。

藤子の残された時間を思うと桜子は胸が潰れるような思いがする。血が繋がっていて、ましてや医者で全てがわかっている志信の悲しみと焦燥は桜子以上だろう。
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