さくら
「16になっても17になっても、桜子は可愛い小さい妹やし」
ベッドに座らされて志信が頭を撫で、桜子の涙をティッシュで拭いてくれる。
「だから夜中に一人で泣くな」
笑おうとするのに上手くいかなくて、また新たな涙が瞳にあふれてくる。
志信が桜子の身体を引き寄せ、自分の胸に抱く。
「大丈夫や、桜子」
この家に来てからずっと志信の「大丈夫」が桜子の精神安定剤。きっとどんな悲しみも、苦しみも乗り越えていけそうな気がする。
桜子は初めて自覚してしまった。
志信のことが大好きなことを。
妹ではなく一人の男性として・・・・・。
志信に寄り添う女の人を見て、感じた胸の痛みの理由は嫉妬。この先、何度桜子は胸を痛めるのか・・・・・「妹」というポジションがこれからどれほど自分を苦しめるのか・・・・・