さくら


けれど絶対に口に出来ない想いだとわかっている。一生行き場のないこの想いを隠して生きていく。

志信の温かい腕の中で不安と悲しみを癒して、明日はきっと前を見て「可愛い妹」をしっかりやるから、今だけ志信に縋ることを許してください・・・・・桜子は久しぶりに安心して眠ることができた。



藤子は桜が散ってしまうのを見届けて、眠るように逝ってしまった。



四十九日も終わって、男所帯になってしまった後藤家に赤の他人の桜子を置いておくことに難色を示す親戚もいた。おそらくそんな話も出るだろうと桜子は覚悟していたけれど、聡志と志信は桜子を手放せという周りの言葉に絶対に首を縦にふらなかった。

「既に桜子はうちの娘ですから」

そう言い切ってくれた聡志にはただ感謝するのみだった。
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