さくら
「おじさんには税理士として医院の面倒を見てもらってますけど、家計の方までお願いした覚えはないです。桜子は別に悪いことなんかしませんよ。オヤジもオレも桜子を信頼して預けてますから!」
つい口調がキツくなる。
「何かあってからじゃ遅いのよ。大体父親もわからないような素性の分からない子に財布を預けるやなんておかしいでしょ」
桜子が身体を固くするのがわかった。
「おばさん!言っていいことと悪いことがあるやろ!これからはオレもいるし、どうぞご心配なく。不愉快や!帰ってください!」
怒りに任せて怒鳴りつけた。
「良かれと思ってやってあげてるのに失礼な子ね」
気分を害した貴子がティーカップをガシャンと音を立てて置き、ソファーから立ち上がる。