さくら
「貴子おばさま!」
リビングを大股で出ていく貴子の後を桜子が慌てて追いかける。玄関で追いついた桜子が謝る声が聞こえてきたが、ドアが叩きつけられるように閉められた。
「坊ちゃん、塩でもまこうか?」
キッチンに控えていたのかウメが言う。
「ウメさん、盛大にまいといて」
志信がソファーにどさりと座る。
桜子が困ったような顔をして戻ってきた。
「志信さん・・・・・あんなこと言って貴子おばさますごく怒ってはったよ。わたしやったら何言われても平気なのに・・・・・」
「平気になるな!一体いつからあんな家計簿のチェックまでやられてるんや?何の権利があってウチのことに口を出すんかオレには理解でけへん」
志信は桜子のために怒ってくれているーーーーそれが桜子には解るから嬉しいけれど困ってしまう。