さくら
桜子を庇うあまり、志信の立場がなくなっては・・・・・と思うからだ。
「あ、志信さん、貴子おばさまから預かったもの」
A4サイズの封筒を手渡す。
「なんだ・・・・・?」
「お見合い写真みたい。いいお話だからって」
胸が痛い
心が引き絞られてしまいそうだ。
「お前、こんなもん受け取るなよ」
志信が中も見ずに無造作にテーブルに投げ捨てた。
「え・・・・・でも綺麗な人かも・・・・・」
「綺麗でも賢くてもお断り。結婚相手くらい自分で見つけるし。大体お前が嫁に行くのが先だろう」
「そんな・・・・・わたし志信さんが幸せになるの見届けてからこの家を出て行くつもりなのに」
客用のカップを片付けるためにトレイに載せる。