さくら
「ありがとな、気にかけてもろて」
「気にすんな。どうせ桜子への下心もあるから」
生姜焼きを頬張りながら、朝倉がニヤリとする。
「下心?」
「そう。お前のこと義兄さんて呼んでもいい?」
義兄さん・・・・・?
志信の頭の中で、上手く変換出来ない。
「志信?」
「・・・・・・・・・・桜子となんかあんのか?」
自分でも驚くぐらい冷たい声が出た。朝倉の箸が止まる。
「今は何にも。これから何かあったらええなと」
「10歳も年下やぞ?」
「10年前なら犯罪やけど桜子ってもう25やろ。35と25、何の問題もないやん」
「ある!お前はともかく桜子の気持ちは!?」
「桜子の気持ちも確認済って言うたら?」
志信は後頭部を思い切り殴られたような気分になった。