さくら
「そうやな・・・・・」
志信も気にはしていた。桜子は何にも言わないけれど25の女の子だったらショッピングや映画やドライブや行きたいところはいっぱいあるだろうに家事と病人の世話で一日を終えるなんて・・・・・。
「また桜子にはオレが電話するわ」
「ああ、気を遣ってもらって悪いな」
本来なら志信が気付いてやらなければならなかった。いつの間にか桜子の優しさに甘えていたんだなと反省した。それを気付かせてくれた朝倉にも感謝しなければと思った。
「志信」
「ん?」
「いい加減、妹離れしろよ」
朝倉が箸で顔の真ん中を指す。
「うるさいわ」
15年
誰よりも近くで桜子を見てきた。可愛がって、本当の妹のように愛して・・・・・。
もうそろそろ手放す時期。年頃の桜子は兄である志信ではなく誰か他の男の手を取る日がくる・・・・・たとえ志信がおもしろくなくても・・・・・。