さくら


珍しい・・・・・。

聡志の病気がわかってから、友人が訪ねて来たことは何度もあったけれど、泊まっていく人は桜子が覚えている限り初めてではないだろうか。

よっぽどの仲良しか、もしくは遠方から訪ねてくるのか・・・・・。

志信もそう思ったのだろう。少し不思議そうな顔をしている。

「さて、僕はもう横にならせてもらうよ」

ソファーから立ち上がろうとする聡志の腕をさり気なくとって志信が手助けをする。

「痛み止めは?」

「必要そうならブザー鳴らすよ」

聡志の枕元には用事があるときには鳴らすブザーがある。家の中であれば大抵どこにいても聞こえる。

自室へゆっくりとした足取りで戻って行く聡志の痩せて小さくなった背中を見送る。

どうかブザーがなりませんように・・・・・。朝まで院長先生がゆっくり眠れますように・・・・・
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