さくら


寂しくなるやろな・・・・・当たり前にそこにいる桜子がいなくなる・・・・・どこかの男に攫われていく。

「なんやオレ、桜子のオヤジみたいやな」

ひとりごちて身体を洗うために勢いよく湯から上がった。


志信の好きなジャガイモと玉ねぎのお味噌汁、だし巻き卵、炊きたての白いご飯。桜子が手際よく準備していく。帰って来るのがわかっていたらしば漬けも買っておいたのに・・・・・。ケニアではどんなものを食べていたのだろう?ケニアはおろか、海外に行ったことのない桜子には想像もつかない。

しばらくは志信さんの好きなものを作ってあげよう。

「おーっ、日本の朝ごはん」

タオルで頭をガシガシと拭きながらキッチンに志信が戻ってきた。髪の毛は長いままだが、髭は剃られてさっぱりしている。


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