さくら
その先の言葉を聞くのが怖くて、桜子は思わず身体を固くした。朝倉がふっと息を吐き、桜子の頭をテーブルの向こうからから手を伸ばして柔らかく撫でる。
「お前の見つめる先にいるのは昔から志信だけやから」
桜子が俯いて息を呑む。
「間違ってへんやろ?オレ人間観察には定評あるしな」
桜子の身体が微かに震える。
自分の気持ちが朝倉さんにバレていたなんて、夢にも思わなかった。
成就するわけもない、悲しくて切ない想いは、鍵をかけて心の奥深くに埋めてしまったはずなのに・・・・・。
「・・・・・・・・・・しーちゃんに・・・・・言わないで・・・・・」
桜子の瞳が僅かに揺れて、潤み始める。
桜子の頭を撫でていた朝倉の手が桜子の頬にそっと触れる。