21時の憂うつ
「せ、先輩?」

「日比谷、お前いま彼氏はいんの?」

「は?い…いません、けど。」

「結婚の予定は?」

「ありませんけど!」

「よーし。そっちもいけるいける。じゃあ日比谷、今度の休みデートしよう。」

「で…ええ!?」

何言ってるのこの人!

あまりに衝撃的な発言を受けて思わず足で急ブレーキかけた私は勢いよく先輩の手を振りほどいた。

これはきっと防衛本能だ。

なんかヤバイと私の中の私が大声を上げている。

「何だよ。」

「何だよって…それはこっちの台詞ですよ。」

「俺はお前にいいところを見せて、油断したところにつけこんで日比谷を落とそうとしてんの。」

「はあっ!?」

この人は一体何を言っているのだろう。

両手を腰に当てて仁王立ちのポーズ、揚句当然のように胸を張って威張っている様にも見える。

でも口にした言葉はある意味衝撃的でも大した内容ではない。

「せ、先輩?」

「何?」

「とてつもなく…先輩が子供に見えます。」

「そう?」

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