21時の憂うつ
流されるままの展開に驚く私の肩に先輩の手が乗る。

ポンポンと2回叩かれたと思えば目の前には満面の笑みが咲いていた。

「約束、な。」

最悪!

「せ、先輩!日曜もアポ入ってるんじゃ…!」

「入れてる訳ないじゃん。そんな時代は終わりましたよ。今の俺は完全に週休2日だぜ。」

「嘘でしょ!?天変地異ですよ!」

「進化と言って貰いたい。」

土日もアポ入れが当たり前だった先輩が週休2日だなんて信じられない。

今すぐ誰かに電話してこの事実を叫びたい位に衝撃的だった。

「という訳で日曜宜しく。じゃあ部長のところに行くぞ。」

「えっ!?ちょっと…待って下さい!」

「待ってたら一生このままだぞ?」

ニヤリと不敵に笑う先輩の姿を見て私の中にある日の記憶が浮かぶ。

動けるときに動いて可能性を広げていく、何をするにも行動力が大事だと教えてくれた先輩の言葉を思い出したのだ。

動かないと始まらない、諦めたら何もかわらない。

言葉通り先輩はいつでも前を向いて仕事に取り組んでいた。

先輩が失敗したところも見たことがある。

でも落ち込むよりもすぐに立ち向かった姿には本当に感心したのだ。

何て強い人だろうと憧れもした。

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